ブレイキングニュース 大事件

 ジョニー・トー監督、ケリー・チャンリッチー・レンニック・チョン出演のアクション映画。強盗に手を挙げて降伏した警官を非難するメディアに対して、犯人逮捕をリアルタイムで提供することにより信頼回復を狙うというモノ。警察が事件をショーとして提供するというありがちと言えばありがちなストーリー。しかし、困ったトコに映画としてのテーマの焦点が絞れていない。そのために見ていて何を表現したいんだと少しイライラ。ブレイキングニュースというタイトルの割にメディアは警察の発表情報を鵜呑みにしていて役に立たない。物語は事件をショーに仕立てようとするケリー・チャンと頭脳派な強盗犯のリッチー・レン、犯人逮捕のためなら命令無視の熱い男ニック・チョンを中心に描かれる。冒頭、強盗一味が張り込まれているシーン。そこに警ら中の制服が交通違反をとがめたのをきっかけに銃撃戦が始まる。ハリウッド映画同様、オープニングのドンパチは香港映画でもお約束だが、ちょっと長すぎ。かれらは輸送車強盗犯だが、輸送車を襲ったシーンはなく潜伏している場所からっていうのはどうなの?ドンパチならこっちが先じゃね?このシーン入れるとすっきり人物が入ると思うんだが。その後、警察がメディア戦略を開始するんだけど、ありきたり。逃走犯4人に対し100人ぐらいで攻める。多勢に無勢とはまさにこのこと。ここですでに犯人に勝ち目が無い。ところが逃げ込んだアパートには全然関係なく潜伏していた殺し屋がいて、そこから話が面白くなってくる。時々分割画面で同時間別場所表示は『24』の悪影響か?(笑) 話としてはそれほど特筆する部分の映画だが、けっこう気に入ったシーンややり取りが多かった。例えば、食事のシーン。これって非常に香港的。ハリウッドではあり得ない。多分、あっちでは発想自体が出てこないと思う。食は重要ですよ。次に犯人が逃亡しようとエレベーターに逃げ込んだときに追ってきたニック・チョンとしゃべりながら銃撃戦を繰り広げるところ。こういうのは非常にドラマ的というか映画的というかウイットな会話が繰り広げられる。リアリズム全盛の最近ではなかなか見ない。好き。なんだけど、そのシーンなぜか縦に長いエレベーター杭を画面に収めてる場面が多くて、真ん中にエレベーターの穴。左右は真っ黒状態。コメディ映画なのかと一瞬思ったり。その後、ラストにいたるまでのあれがよくわからん。なぜ、そうなったの?トークを真に受けたのけ……?その辺に不満だが、全体として緊張感のある画面作りだったし、楽しめた。そうそう、ケリー・チャンの眉毛が異様に太いのがずっと気になったな(笑)今時ありえん……