雲霧仁左衛門 DVD

 前回言っていた通り、雲霧仁左衛門TVシリーズを借りてきて、1,2を見た。ダメだわ。リアルタイムで見ていた時は山崎努が好きで、時代劇も好きな時期だっただけに見ていたんだろうけど、脚本がひどい。出演者は非常に豪華なのだが、原作の良さが一つも活かされてない。特に因果小僧六之助のバカっぷりがひどいし、お頭である雲霧仁左衛門の判断を疑う場面が多数。さらに富の市が中核メンバーとして動いていたりする。さらに火付盗賊改与力、高瀬俵太郎は怒鳴ってばかりだし。仁左衛門は直接出向いて行くし。雲霧一味が素晴らしいのはそれぞれ盗人のつながりの薄さ、つなぎの付け方の巧妙さ、そして雲霧仁左衛門の頭脳とそれを辛抱強く実行する力が組織として長く存続していたポイントなのに、それを主要メンバーばかりで動いていてはすぐにばれるじゃないか。中村敦夫の安部式部と与力岡田甚之助の平泉成は良い感じだった。特に岡田は原作では無能を絵に描いた様な存在だったが、こちらではなかなかのやり手。そこはよかったんだが、それだけかのう。今、攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX 2nd GIGを見直してるんだが、こちらは原作の換骨奪胎が非常にうまい。逆に雲霧仁左衛門は非常にへたくそ。がっかりしたのだが、結末が気になるので、TVでは未放送だった最終3話だけを借りよう。で、見た。原作ではなかった最後の仕事の後も描かれていて、この終わりは有りかなと。本懐を遂げよと言ってたから陥れたヤツを切り捨てるのかと思ったが、さにあらずで納得がいく感じ。

 これを見てあらためて時代劇の見せ方をツラツラと考えていたんだけど。以前、自分の中で江戸時代ブームが来ていたと書いた。その時に色々読みあさってみると、最近は江戸時代の研究が進んでいて、農民が重い年貢に苦しんでいたわけではなかったとか、江戸で町人文化が盛りになっていたのはそれほど締め付けがきつかったわけではないからとか、識字率が素晴らしく高かったりとか身代を金で買うことによって農民でも武士になれたりとか(勝海舟の家はそうだったとか)色々わかってきているらしくてそういうのを見ると太平が文化的熟成を作っていったんだなぁと。そういった新しい発見を軸に武士以外を主人公にした物語の方が面白いんじゃないかと思ってみたり。後、我々の知識の無さを補うための情報の表示の仕方とかも工夫できるんじゃないかなぁと。例えば、髷(まげ)は町人と武士では結わえ方が違ったりするのは現代の我々にはわからない。しかし雲霧仁左衛門では髷を変えることで町人になったり武士になったり。身なりや作法でそれぞれのコードがあったわけで。そこをわからせるためにCGを使ったりというのも面白いと思う。未来劇のような時代劇。せっかく魅力的な素材があるわけだから、これを活かす手はいくらでもあると思う。そんなのを考えてると楽しくなった(笑)


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